
―― 神戸の雨が似合う男、ジョンは今日も凛として。
🌧️カーテンを開けた朝、思わずつぶやく「今日は無理かも」
神戸・中央区のマンションで迎える雨の朝。
外の景色はグレー一色、遠くのポートタワーも霞んで見える。
私は思わずつぶやく。
「うわ…けっこう降ってるなぁ。今日くらいは散歩お休みでもいいんじゃ?」
そんな私の横で、すでにリビングのドアの前にスタンバイしているのは――
エアデールテリアのジョン。
いつも散歩に行くのはママの担当。
でも今日はあいにく、ママは朝から用事で外出。
代打で登板した私に、ジョンはまっすぐな目を向けてくる。
“雨? 何それ、おいしいの?”
とでも言いたげな顔。
そう、うちのジョンは雨の日がまったく苦にならないタイプ。
むしろ「やった、今日は空いてる公園だ!」くらいの勢いでワクワクしている。
そんな姿に押されて、私もレインコートを手に取った。
🐾レインコートを着こなす紳士、神戸の港町へ出発
ジョンはレインコートを着るのが上手だ。
袖を通すときも嫌がらず、静かに立ったまま私を見上げる。
首元のベルトをカチッと留めると、まるで“さあ準備完了です”といった表情。
その姿が、なんとも堂々としている。
濡れるとほんの少しウェーブがかかる毛並みが、
まるで英国紳士がトレンチをまとうようにも見える。
エアデールテリアという犬種は、実に気高い。
無駄に騒がず、でも芯に火が灯るように元気。
ジョンはまさにその典型で、
今日も神戸・みなとの森公園へと向かう足取りは軽い。
🌫️静かな港町、雨の中で光る瞳
公園に着くと、いつものジョガーたちの姿はなく、
広い芝生と濡れた遊歩道が静かに広がっていた。
雨音と、時折聞こえる貨物船の汽笛。
遠くに見える観覧車の光が、霧の中でぼんやりと揺れている。
そんな幻想的な風景の中、
ジョンはいつも通りのテンポで歩き出す。
レインコートのフードを小さく揺らしながら、
水たまりを避けるでもなく、堂々と進むその姿。
まるで「雨?気にするほどのこと?」とでも言いたげだ。
雨粒が彼の鼻先に落ちると、
ジョンは小さくくしゃみをして、こちらを見上げる。
その瞳がキラリと光って――
私は思わず笑ってしまう。
「お前、楽しそうだなぁ……」
🌿雨の日にだけ見える景色
港町の空気は、雨の日に少し特別になる。
濡れた芝の香り、潮風の混じった湿った匂い。
アスファルトを打つ雨の音が心地よく響き、
すれ違う人のいない静かな道を、ジョンと二人で歩く。
「普段なら見逃している風景だな」
そんなことをふと思う。
ハーバーランドの方向から流れる風が少し冷たく、
雨に煙る海がどこか詩的に見える。
ジョンはそんな景色にまったく関心を示さず、
ただ前を見て歩き続ける。
けれど私は、この時間がなんだか愛おしくなる。
この子がいなければ、雨の日の神戸の美しさなんて
きっと気づけなかっただろう。
🏠帰ったあとのお楽しみ
家に戻ると、玄関マットの上で“ブルブルッ”と一発。
レインコートがしっかり水をはじき、床は被害最小限。
ママが選んだ機能的なデザインに感謝しながら、
私は静かにファスナーを外す。
ジョンはおとなしく立ったまま、タオルドライを受け入れる。
濡れた毛の奥から、ほのかにシャンプーの匂いがする。
「いい子やなぁ」と声をかけると、
目を細めてしっぽをふるその姿に、心がほっと緩む。
最後に足を拭いてあげると、
ご褒美のジャーキーをひとつ。
これで“今日の任務完了”という顔をして、
リビングのラグの上にコロンと横になる。
雨の日の散歩は、確かに少し面倒。
でも、この子にとっては、
晴れの日と何ひとつ変わらない大切な時間なのだ。
🌈雨でも晴れでも、毎日が特別な一日
私はママほど上手に散歩をリードできないけれど、
今日のジョンを見ていて思う。
「この子の一日は、いつも全力だ」
天気なんて関係ない。
雨が降っていようと、風が吹いていようと、
ジョンの中では“今日も最高の日”なのだ。
そんな姿を見ていると、
私まで前向きな気持ちになってくる。
明日もまた、神戸の港町を歩こう。
ジョンはきっと、レインコートを颯爽と着こなして、
雨の中をまっすぐ歩いていくに違いない。
🐶💭ジョン、今日もありがとう。
君と歩くこの街は、いつだって少しドラマチックだ。
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この記事を書いた人 Wrote this article
john-family 男性
ずっと旅行をしていたい。愛犬Johnが来てからはなかなか気軽にお出かけできなくなったけど違う癒やしにあふれているからOK。社会人生活はベテランです。兵庫県在住。興味があちこちにいくので雑記帳になっちゃうかも。